「おい地獄さ行ぐんだで! 二人はデッキの手すりによりかかって蝸牛が背のびをしたように延びて、海を抱え込んでいる函館の街を見ていた。」――
日本共産党員の作家、小林多喜二の「蟹工船」が大きな注目(ひそかなブームと言う人もいます)を集めています。
これまでも年間五千部ほどは売れていたようですが、今年に入って4月に七千部増刷。それでも品切れ状態になり、五万部を再増刷し、その数は実に例年の100倍だそうです。
私も学生時代、共産党に入る前でしたがこの本を読みました。しかしすでにどこにしまい込んだのか忘れたので先日、「あゆみ書店」で購入しました。文庫本コーナーに目立つように平積みにされて、「若者に共感、ワーキングプア…?」そんな広告コピーまでついていました。
まさか「蟹工船」が売れる世の中になるとは―複雑な気持ちです。しかし、国民の運動が不条理を変えることを、多くの若者に理解してほしいものです。